書くという事
あれを書こう、これを表現しよう、そう色々考えて、
パソコンを開けると、いつもそこで止まってしまう。
人と話す時もそう。「今日は思いきり喋ったんでー!」と勢い込んで人に会っても、絞り出した言葉は「急に寒くなりましたね。お身体壊さぬように」の一言だったりする。
“観念”というよく分からない“観念”に頭を押し付けられて、雲の切れ間も見れない。だというのに、左眼の端には「ウィトゲンシュタイン入門」なんて本が置いてあるから厄介だ。
“芸術”という、フィールドのごくごく隅っこに息づいている自分が言うべからざる言葉なのだけれど、抽象的表現が昔から苦手だ。
「ぶぶ漬け食べとくれやす」なんて言ってお茶漬け出された日にゃ、ぺろりと一升たいらげて、「おかわり!」なんて言うに違いない。
すったもんだも惚れた腫れたも、しゃれこうべになっちゃえば全部、一緒。
だから、この壮大なコントを踊り切ってやろうと、虎視眈々とステップ踏んで。
コンタクト・インプロビゼーション、ってやつやな。
違うな。