まけまけいっぱいの愛を

力の限りに、“無意味・無作為に一生懸命な様子”を書き綴っていきます。 好きな言葉は、「どんぶり勘定、くんずほぐれつ、十把ひとからげ」です。

思い出横丁いとおかし。

今年から月に一回、徳島時代の友人と勉強会(という名の飲み会)を開いています。

勉強会というと堅苦しいけど、要するに共通のテキストとなる一冊、もしくは映画を決めて、読んだり見たりした後に感想を言い合うという会です。

第一回はソポクレス『オイディプス王』で、第二回は『伊勢物語』でした。

それぞれの近況報告も兼ねて行われるので、テーマに話が始終する訳ではないのですが、リアルタイムの現況と古典を重ね合わせて話をする悦びも、そこには確かにあるわけです。

第一回目は僕が徳島を出てからずっと大阪にいたのに引き換えて、二人は上京してからずっと東京に住んでいるということと、僕が正月に帰省した後すぐだったということもあったので、一回目は思い出話に花を咲かせることが多かったのですが、今回は割と本筋に沿った話が出来ました。

何かを読み解く時に古典をテキストとする場合は多いですが、古典そのものを読んで感想を言うというのは中々難しいものがありますね。知識の無さがボロボロ出てきます(笑) 
でもいいんです、勉強会だから。

一人で咀嚼して染み渡るような読書体験もいいですが、本や物語についてあれこれ言い合うのってほんっとに楽しいです。

思い出横丁で飲んだのですけど、都市のど真中なのに下町情緒があって良い。黒い釜のなかに煮込まれる串、並ぶビール瓶、狭い店内をすみません、と言いながら身を細くして奥へ歩いていくのも良い。「あんたたち何か悩んでんの?若い男が雁首揃えて難しそうな顔して。恋の悩み?恋の悩みなら聞くよ?」店員さんがタメ口なのがまた良い。

恋の話には違いないのだろうけど、僕たちの話ではないし、実体のある誰かの話ではなくって、何百年も前の不詳のモテ男(恐らくは在原業平)の話だっていうんだから、いとわろし。

業平がヤンチャしなければ今ここにいる誰かは生まれてないのかもしれないのだよな、と落とし処をつけつつ店を出ました。