アンジェリカの微笑み
東京での上映が終了していたので、千葉県の千葉劇場まで足を運びました。
「アンジェリカの微笑み」。
なんというか、20年代の映画を今の技術で撮ったような印象を受けました。土地土地に伝わる物語を題材にした、というんじゃなくて、口承伝承が映像として立ち上ったような作品で、音楽はショパンのピアノ曲と農夫の歌う地唄のみ。台詞は少なく、長回しのワンカットがとても多い。画を繋げるのではなくイメージが配置されていくモンタージュ。
この映画を言葉で要約するとなると、非常に"詩的な映画"だということになるのでしょうか。人によっては神話のイメージを重ねる人もいるのかもしれません。
後、映画を観ながら自身に対して発見したことがあります。それは、一言で説明しきれない映像に接した時に、頭の中で必死に理由付けや整合性を保つ作業を行おうとしていた、ということ。奔出された上記の文章なんてその結果で、いわんや排泄物みたいなものです。
この映画に対して、更に言葉を重ねることを許してもらえるならば、映像作家が現代美術の展覧会で流す映像作品のような印象も受けました。芸術作品を言葉でもって評して云々するのなんて愚の骨頂だと感じながらも、ひとりでに動く我が指先は如何にしたものでしょうか。
「言葉で言い表せないものを言葉を使って表現しようとするのが文学だ」という言葉があります。だとすれば映像と文章とは、互いに相容れないものなのかもしれません。そのパラドキシカルな行間で身悶えつつ映画を見終えました。
エンディングは声だけのフォルクローレ。