ガード下に掛かる月
新宿ガード下に掛かる月が、大きくて、強く光っていて、歌舞伎町の方向へ鈴なりに連なっている、きらびやかな看板の灯りの群と相まって、本当に美しかった。
ハッとする、息を呑む、心臓を掴まれる、いずれも使い古された慣用句や言葉たちだけど、多くの人が使うだけあるな、って思った。
僕の場合は、ハッ、よりもフッ、と大きく息を吸い込んで呼吸が一瞬出来なくなった。それによって、心臓に、微かな鈍い痛みが起こった、というのが適切かもしれない。
どう表現したらいいんだろう。
あの都市の煌めきと、力強く燦然と照り映える月の輝き。それによって起こった己の胸の律動を。誰かと共有したいけれど、共有しえないことは解っている。それでもなお、捉えた気持ちを逃がしたくないし、願わくば誰かと分かち合いたい。
ポエジーなことは言いたくないし、そして誰かにいじられることも分かってるんだけど(笑)、適切な言葉を探せないからどうしようもない。
しかし、その情景の美しさよりも、あれだけ人がいて、僕以外に月を見ている人が一人もいなかったことが本当に驚きだった。
Twitterとかで検索したらいるんだろうけどね(笑)そういう、洒脱な想いを剥ぎ取ってゆく文明とは、闘ってゆく所存です(笑)